2015年1月30日金曜日

登頂回望・号外編(その13) [羽村美和子]  /   網野月を 


枚方の叔母飼いたがる都鳥       羽村美和子

 枚方の土地柄を筆者は残念ながら知らない。都会なのか田舎なのか?その地の叔母が鳥を飼いたいと言っている。不思議な句である。都鳥は果たして人が飼えるものかどうか筆者は知らないが、都鳥(=ユリカモメと筆者は解した)のイメージがこの句の決め手である。古くから歌謡や和歌に詠み込まれているイメージであろう。叔母についての詳細は句からは判明しないが、何やらいろいろと物語を勝手に作って読んでしまう。「飼いたがる」の意思表示が、単に掲句を叙景に終わらせないでいる。

「霧の花」【俳句新空間No.2】 2014(平成二十六)年[新春帖]所収