2015年2月13日金曜日

登頂回望・号外編(その15) [福田葉子]  /   網野月を 



密会の兄者に淡き春の雪         福田葉子
一見、艶っぽい句にも思えるが、そうではないだろう。題は「反魂歌」であるので、この「密会」はシリアスなものである。作者にとっての「兄者」かどうかは不明だが、大変ごとに遭遇している「兄者」の熱を雪が冷ましているようだ。春の雪にそうした情緒が込められている。

「反魂歌」【俳句新空間No.2】 2014(平成二十六)年[新春帖]所収