2015年7月7日火曜日

【俳句新空間No.2】 真矢ひろみの句 /もてきまり


ぼうたんの揺るるは虐殺プロトコル 真矢ひろみ
ぼうたんの百のゆるるはゆのやうに 森澄雄〉の本歌取りである。白牡丹の沢山咲いている景はお湯がふつふつと沸いているようなというほどの意味だが、むしろ句の意味は横に置いて、漢字「百」以外は仮名表記のシニフィアン(記号表現)の美として私は享受してきた。掲句の「ぼうたんの揺るるは」というシニフィアン(ここでも意味は重要ではない)は「虐殺プロトコル」だと云う。プロトコルとはIT用語で手順とか手続きのような意味だ。想えば大量のお湯が沸騰する景は怖い。そのサブリミナル効果も入って「虐殺プロトコル」。二〇一四年五月ウクライナのオデッサで二十一世紀とは思えないほどのネオナチによる市民虐殺があった事を思い出した。他にも共鳴句が多く〈国霊やコンビニの灯を門火とす〉等。