2015年7月29日水曜日

【俳句新空間No.2】 堀田季何の句 /もてきまり


責問や金具に締めて氷掻き  堀田季何
幾つかサドマゾ的傾向の句を拾ってみた。手回し掻き氷機という責め具。「責問や」なのでここでの氷は口を割らない容疑者と見た。で、この氷(ピン)氏を金具でガチッと締めガリガリと削りあげるのである。赤いものが滲んだ自白の掻き氷が出来上がる。〈うつくしく牛飲まれゆく出水かな〉「うつくしく」と仮名表記の韜晦。「牛乳飲まれ」に錯視させんばかりの「牛飲まれゆく」と捻り「出水かな」と残酷な着地。確かに俳とは人偏に非なので、このくらい非情の眼も面白い。(いやん、嫌いという方もいるが)表現とは孤独なもの。マゾ的な句として〈うき草や楽園といふ檻の中〉〈未来にも未来あり糞ころがせる〉楽園という檻で永遠に糞ころがしでは、さぞやお辛かろう。