2016年9月16日金曜日

【俳句新空間No.3】 堀本吟の句 / もてきまり



声のみをまじわらせおる花すすき 堀本吟
「花すすき」穂がでたすすきに出会うたびに、いにしえ人がすでに白髪となり老婆老翁となり群立っているように見える。中にはあの五百年生きている安達ヶ原の鬼婆もまじっているように思えるのは私だけだろうか。そこは、古語ともつかぬ声がかすかに聞こえる幽玄の世界。他句に〈その真ん中に空蝉の観覧車〉「その真ん中に」なので都心梅田ファションビルのあの真っ赤な観覧車か。観覧車のゴンドラを「空蝉」に見立てた吟さんの内的世界を想う。