2017年2月3日金曜日

【俳句新空間No.3】平成二十六年甲午俳句帖 [小林かんな] / 大塚凱



  星涼し奴婢の運びし石の数 小林かんな
ピラミッド然り長城然り、古代の遺跡の莫大な石を運んだのは奴婢であったか。「石の数」という下五からは、巨大な石の壁を目の前にして驚嘆や畏怖の混ざり合った心地が感じられる。かつての奴婢と、ここに居る私。恐るべき石の姿と、それを見ている私。「星涼し」から広がる時間と空間である。どこか異国の香りのするのも、「星涼し」のこころだろう。